2025年6月13日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2025年6月8日

 今月は様々な分野の新書をセレクトしてみました。本を片手に散歩日和を楽しむのはいかがでしょうか。

(bluebeat76/gettyimages)

知行合一の実践

経営教育 人生を変える経営学の道具立て 岩尾俊兵、KADOKAWA、990円(税込)

 最初に著者は問う。なぜ「みんな苦しいのか」。それは「価値有限」という奪い合いの世界で生きているからだ。しかし、「価値は無限に生み出すことができる」。その方法を「価値創造三種の神器」という形で教えてくれる。表題だけを見ると「ビジネス書か?」と思うかもしれないが、全然違う。思想書であり、平坦ではなかった著者の人生が詰め込まれている。そして、知ったことは実践に移す。それこそが本書の真骨頂で、本書内にはその仕掛けがたくさん用意されている。

崩れゆく民主政治

沈む祖国を救うには
内田 樹
マガジンハウス
1100円(税込)

沈む祖国を救うには 内田 樹、マガジンハウス、1100円(税込)

 本書には様々な場所で書かれたものが集められているが、時代を反映して政治や民主主義に関するテーマが多い。例えば「共感」ベースで政治的判断を下す(投票する)ことは、共感できない人たちとのコミュニケーションを初めから放棄することにつながると指摘する。そして、米国建国の父の一人であるハミルトンの言葉を引きながら、「心許せない者」が権力を専横しないための仕組みこそ民主政治であると。日本も米国もそこからは真逆の方向に進んでいることがわかる。


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