今年1月、東京・板橋区の7階建てのマンションの家賃(7万2500円)を突然2.5倍以上の19万円に値上げするとオーナーから通知され、住民が相次いで退去を決意。その後、ある住民が値上げを拒否する意思を内容証明郵便で管理会社に送り、メディアにも連絡を取ったところ、大きく報道され、国会でも取り上げられる事態になった。
この不動産のオーナー(家主)は中国人で、直撃したメディアの取材に対し「日本の相場がわからなかった。値上げを撤回する」と話したという。

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日本には借地借家法があり、借主の権利は保障されている。入居者に非がないかぎり、日本では強制的な立ち退きなどはできない。だが、中国人など外国人による日本の不動産購入が急増していることもあり、日本人の借主の中には「今後も同様の問題が起きるのではないか」という不安が広がっている。このような問題の背景には、日本と大きく異なる中国の不動産事情もある。
増え続ける中国人オーナー
問題が発覚し、メディアや国会で取り上げられたことにより事態は大きく動いたが、もしこの問題が公にならなかったら、ほとんどの住民は愛着のある住居から、泣く泣く退去をせざるを得なかったかもしれない。また、報道によれば、住民の退去が始まったのと同じ時期から、同マンションで無許可の民泊が行われており、家賃値上げ以外の問題も生じていることが明らかになった。
同問題では、住民が知らない間にオーナーが中国人に変わっており、家賃の値上げの通知があった後に住民は新しいオーナーの存在を知ったようだが、今後、このようなケースは増えることが予想される。というのは、よく知られているように、日本には外国人による不動産購入の規制がほとんどないからだ。