今、ちょっとした「広東語学習ブーム」が起きている。火付け役となったのは香港映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」。今年1月17日に日本で公開されると口コミで人気に火が着き、5月17日には日本での興業収入5億円突破が発表された。リピーターが多く、数十回も鑑賞する熱烈なファンまでいる。
香港映画としては異例のヒットだが、映画だけではなく広東語学習にまで手を出すほどファンの熱意をかきたてた魅力を探っていきたい。
「広東語ブーム」「香港本ブーム」でお祭り騒ぎ
東京・ジュンク堂池袋本店では広東語教科書を紹介する特集コーナーを設置した。当初は5月末までの予定だったが、8月末まで期間延長している。
定番テキストは白水社の『ニューエクスプレスプラス広東語』だが、2019年発売にもかかわらず、今年に入って売れ行きが一気に上がっている。
「ニューエクスプレスプラス広東語は今年に入り2回も重版したほどの人気で、一時は品薄になっていました」
そう説明してくれたのは中国語圏に関する和書、輸入書の専門書店である東方書店の筒井健さん。このほかに『広東語の世界 香港、華南が育んだグローバル中国語』(中公新書、2024年)も重版されているという。
広東語はイントネーションも難しければ、スラングが多くて単語も複雑。以前に広東語の文章を翻訳する仕事を請け負ったことがあるが、あまりの面倒臭さに閉口した記憶がある。映画が好きになったからという理由で、そんな面倒な広東語を勉強する気になるのだろうか。